コーク。
爽やかでアメリカで、とてつもないエネルギーを感じる広告だ。じっと見ているのが怖くなる。
今、改めて、久しぶりにコカコーラの広告をこうして見ていると、なぜかコークが飲みたくなってくる。
恐ろしいほどのすり込みが自分にされていたのが判かるのだ。
あれは確かバブルの頃だったと思うが、ある日のこと、いつものレンタルビデオ屋に行くとサービスでコーラが自由に飲めるようになっていた。
ボタンを押すとまるで水のようにコーラが紙コップに注がれた。
コカコーラライトなんてのが登場して、それを有難がっていた矢先のことだった。
なぜか突然、そこら中にコーラがあふれ出した覚えがある。
そしてあちこちのファミレスなんかで、ソフトドリンク飲み放題のサービスが始まった。
コーラは、それこそ水のように飲めるようになったのだ。
子供の頃、駄菓子屋で、それこそビールか何か貴重な大事なもののようにしてありがたがって飲んでいた頃とはまるで世界が変わった。
甘い炭酸水、すこしカラメルの味がするというだけの不思議な飲み物は、ただの色つきのソーダ水になった。
その頃を境にして、もうコーラを飲みたいとは思わなくなった。
手を出せばいつでも飲めるものをもう飲みたいとは思わなくなった。
スティーブジョブスをクビにして不振のアップルはCEOをペプシから招いた。
マッキントッシュを大々的に売るための人事だった。そのCEOスカリーは「色つきの水を売っていたマーケティング野郎」と揶揄されたものだ。
つまり当時からすでにコーラはタダ同然、その威光などハゲ落ちていたのかも知れない。
だからあれは必然的なことだったのかも知れない。
ただ、もしあの時コーラを安売りしていなければ、今も我々はコーラをありがたく飲んでいたのかも知れないと思ったりする。
それはちょっとゾッとする話だ。
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