今から思えば、これまたなんとも珍妙な趣味としか言いようがない。
葉タバコの香りの香水やコロン、ヘアスプレーだというのだ。驚きしかない。
ケンタッキーが発祥だとか。
「嚙みタバコ」のイメージが強いが。
確かに昭和の時代、「男らしさ」はタバコの匂いと密接に結びついていたかも知れない。
女がタバコの匂いがすることに「男」を感じたのは遠い昔の話だ。
女に撒き散らすフェロモンや香水があるとするなら、男のそれはタバコというわけだ。
男が女性の喫煙を嫌ったりするのもそんな含みがあったのだろう。「男の匂いをまとう女」というわけだ。
そんなイメージからか、タバコを吸う女は乱れているとか貞淑ではないと思われた。
結局、タバコを吸う女は煙たがられたのだ(笑)。
男らしさや女らしさが決まりきった価値感の下で通用した時代があった。
こういう製品というのは、タバコを吸わない男でもタバコの香りを身にまとい、女性を惹きつけられる、そんなことが売りになったはずだ。
やがて昭和も後半になってくるとタバコの立場はとたんに悪くなる。
そして「ヤニ臭い」 「ニコ中」などと馬鹿にされるようになってゆく。
こんな香りを売りにしたものもあだ花と消えてゆく。
しかし少なくとも、男性が「男らしさ」を追求した時代だったのかもしれない。
男が、甘えるよりも強くなろうとした時代だ。 女性を惹きつけようと頑張った時代ではあった。
今は男の値打ちは何で決まるのだろう。独り立ちした女たちは男のどこに惹かれるのだろう。
ちなみに広告の男性は「館ひろし」ではない。
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