ちょっと懐かしい有名な広告だと思うが、知らない人にはまるでピンとこないかもしれない。
耳を石膏でかたどっただけの写真、これが妙にインパクトがあったのを記憶している。
「音のノイズ」ということを表現するのに、これほどうってつけの写真はなかったと思った。
昭和の時代、カセットテープというのはこうした厳しい品質競争を戦いながら、基礎技術の蓄積をしていったという歴史があった。
今はそうした蓄積を貯金として吐き出してしまい、これからの日本の製造業がどうなるってゆくか心配にさえなってくる。
本来のカセットテープで言えば、メタルテープというものもあって、特性からすればそちらの方に軍配が上がった。
ただメタルテープは高価でもあったし、なにしろ重く、まるで金の延べ板のようなカセットープだった。
そして対応するデッキも限られていた。
だから開き直って既存のカセットテープとデッキで勝負しようと、よほどのマニアでなければみなが同じこと考えた。
市場は当然広いほうが競争の余地があった。
ノーマルテープでの厳しい競争が盛り上がったのは当然の成り行きだった。
その後、メタルテープのことはすっかり聞かなくなったが、技術的には音質で凌駕してしまっていたのだろうか。
やがてウォークマンの時代となり、カセットテープもいよいよ隆盛を極めることになる。
そしてカセットも単に音質やノイズだけでなく、見た目のデザインや付加価値が追及されるようになってゆく。
洒落たラベルをサービスにつけ、楽しくカラフルなラベルをオマケにしたり、カセットケース何本かがまとめられるケースやBOXをオマケにしたり、競争は激しくなっていった。
カセットケースそのものも透明なプラチックにしたり、奇抜な形状のものが登場し、仕様の範囲ではあるが様々な形のカセットテープが登場した。
その頃がカセットテープにとって絶頂期であったのだろう。
やがて音もなくw、デジタル音源が忍び寄ってきて、ついにはMP3で完全にカセットテープの時代は駆逐されることになる。
こうして考えると技術の栄枯盛衰を見る思いがする。
今、このテープという技術の活用を改めて考えてみても、もうどこにも用途は考えられなくなってしまった。
災害に強いということも特になく、原始的な磁気記録装置でしかない。
このテープの商品名は「クリスタル」である。
「わかったか?」 「クリスタル・クリア」
なんて言って、了解したということを強調してこんな英語で言ったりするw。
スコッチテープのブランドで有名だった3M、3Mボンドなんてブランドあった。
その販売権と商標使用権を得るため住友が3Mと日本法人を設立した。
住友電気工業も資本参加した。
その後、株を住友から買い入れ、3Mの完全子会社になった。
今は住友電気とは関係がない。3Mジャパンとなっている。
どうにもその経緯はあまりクリアではなかったw。
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