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 実にシロウト臭い広告だと思う。

 訳が分からない詰め込み方。目が疲れるようなレイアウトのウザさ、呆れるばかりの広告だ。


 ラジオ番組「ジエットストリーム」を思わせる夜景。

 斜めの傾き、だから飛行機の翼かと思えばネバダかどこかの砂漠が唐突に貼り付けられている。

 斜めに配置されたウンチクもゴタクも、フォントの色も、なんだか五月蝿い感じがしてしまうだけ。

 みんな斜めw。


 まるで中学生が作ったような広告だ。

 よくこんなものが許されたな、と思ったらパイオニアだった(笑)。


 これは例の「レーザーディスク」発売の以前だったろう。

 まだ木製のキャビネットなどで高級感でモノが売れるとやっていたようだ。

 やがてレーザーディスクの一時的な成功で会社は伸びる。


 しかしその栄華も僅かの期間に過ぎなかった。会社は急速な時代の変化についてゆこうとはしなかった。

 カーコンポ、GPS、アップル互換機など、会社はとことん迷走を続け、ついには破綻寸前の状態となる。

 レーザーディスク成功の驕り、組合によって潰される典型的なダメ会社の物語でしかない。



 組合が会社を駄目にする。

 我が国でテクノロジ企業がロクに育たないというのもこんなところに原因がある。


 派遣と社員という労働格差を温存することで甘えが生じ、企業は活力を失ってゆく。


 将来のビジョンが見えず、ビジネスは「モノ売り」のままだ。

 今の時代、その衰退のスピードは驚くほど早い。



 パイオニアにとって、カーナビなどがそうだったろうが、やり方によっては日本のユニコーン企業として再生できたはずだった。

 しかし会社は、とにかく社員重視という奴で取引先を軽視した。能力がある者を使わなかった。


 かくして、今やGPSはほとんど発展の望めないインフラ程度に成り下がってしまった。

 社会変革の夢は泡と消えた。

 今はインターネットがある。

 ネットとGPSの融合は忘れられたままだ。
 


 木製のキャビネットにうやうやしく収納させたコンポーネントは、同じ時代の広告、オーディオ製品と較べても時代遅れに感じてしまう。

 これでどんなライフスタイルを想定していたのか、独りよがりなものしか感じられない。

 その気質は変わらなかったのだろう。レーザーディスクはよほどの幸運であったとしか言いようがないが、しかしこんなセンスだったのだから、そのブームは短命に終わった。

 言うまでもなくレーザーディスクはパイオニアだけが販売した。



 やがて会社に全く価値がなくなり、消費者にはパイオニアというブランドは遅れたものという印象が植え付けられてしまった。

 今は社会にとっては不要な企業でしかない。


 傲慢さのツケ、哀れさしか感じない。