オートフォーカス、オート露出、絞り、シャッタースピードなどなど、できるものはみなオートになっていった。
これであと足りないのは結果をデジタルに焼き付けるというところだけ。
改めて振り返れば、時代は必然的なほどにデジタルになっていった気がする。
逆らうことの出来ないメガトレンドがあったことが見えるようだ。
それにしてもこの広告、コピーの「楽写発見」なんて、なんのことかさっぱり。
きっと分かりにくいだろう。
これは浮世絵のあの「写楽」をモジったものと見られる。
写楽というのは発見された画家とも言えるから、間違ってはいない。謎の絵師とされる。
しかしこういうコピーはあまり程度がいいとは言えない。
「楽写」なんて言葉すらないからだ。
言葉をモジるというのは別な時にするもので、なんでも反転させたり奇妙にすればいいというわけではない。
素直に「写楽発見」とやって、浮世絵風の写真を出してみせた方がよっぽどよかったはずだ。
それで「写真撮影が楽になった」なんて感じの広告になった。
しかし製品のコンセプトがそこにあったかどうかは疑問だ。
メーカーはできることをやっていっただけ。そうしたら全てをオートにできたというだけだろう。
時代とか客の要請、ニーズからこうした製品ができたとは言えない。
それが時代の流れ、歴史の必然というものだ。
だいたい、フルオートになったとしてもやはり写真は難しいものなのだ。
今のデジタルの時代でもやはり難しい。
デジタルだからなんでもどうにかできるかと言えばそうでもない。雰囲気、構図、光の具合など「表現」というのはやはりある。
写真撮影が苦手な人間からすれば、この広告の「楽」とは何のことを指しているのか、まるで分からない。