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 広告は見えにくいが、知る人が見れば分かるかも知れない。

 そういう「見つめさせる」引きを狙った広告だ。

 よくよく見れば面白いというわけだ。




 広告の自動車は三菱のギャランシリーズで、フラッグシップモデルということだろう。

 撮影場所が欧州かと思えるが、実は長崎のオランダ村で撮影されている。


 長崎オランダ村は、この施設が原型となり、今のハウステンボスへと続くテーマパークである。

 テーマパークでありながらわざわざオランダ人の大道芸人などを呼んでパフォーマンスさせるなど、運営も話題を呼んだ。


 一瞥すればオランダ風の町並み、そこにクルマがあるという風に見えるから、まるで欧州で評価されているモデルのように見える。

 よく見れば違う。しかし騙されたという感じにはならない。




 こういう長崎オランダ村やハウステンボスのような感覚をなんと表現したらよいのか。
 日本にはこういう感じのことがよくある。ディズニーランドもそうだ。

 いわば、「手前感覚」とでも言ったらいいのだろうか。
 「自分の手元に置いたものの方が本物になる」、そんな感覚だ。

 なにもわざわざオランダを知るのに、オランダに出かける必要もない。
 出島があったご縁で長崎にそっくりレプリカを作ってしまおう、それなら海外へ出かけるよりも安全だ、と。


 そしてオランダよりも、こちらがよりホンモノのらしい手触りだと我々は感じるようになる。


 近くて、誰もが行ける国内の場所ならそっちの方が良い。
 いくらホンモノであっても、遠くてほとんどの人が知らないというのであれば感触は薄い。

 そのイメージさえ薄くなってしまう。

 一方のオランダとて、どうせ観光客を当て込んで町並みを整備したりして国自体が観光資源であるのだ。
 それならいったい、何が「ホンモノ」であるかということになってしまう。


 この広告に当てはめて言えば「ベスト」とは何か、ということになる(笑)。

 そんな風に、我々日本人は実に軽やかにローカライズをやってのける。



 写真はハイキー気味で素晴らしい出来だ。
 
 見た人を唸らせる広告、凝視させる広告、そんなところを志向しているのが分かる。

 これが高級車であるというアピールは、同じように手前感覚的を使って成功しているように思えるがどうだろうか。


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