「スイス航空」、というと妙な感じに聞こえるが、今だったら「スイスエアー」と言った方が通りがいいだろう。
昔はそのホスピタリティと美女スチュワーデスを揃え、ある種の人たちには人気のエアーだった。
コロナ禍でどの航空会社も大変だと言われるが、何しろこれまでが人が派手に動きすぎた。
不要不急の移動、観光、遊び。
コロナで、それほど「人命」ということを言うのであれば、まずは足元からだと思う。
人と人の接触、干渉がなくなればそれはそれで世界は平和に違いがない。
スイスという国の中立性はいつの間にかボケてしまい、堅牢な安全地帯というイメージはすっかりなくなった。
今はその存在感の薄さが逆に目を引くぐらいだ。
地理的にもユーロ経済圏の中にあって、なんとかしのいでいるという感じがする。
通貨もスイスはスイスフランを堅持したままだが、それさえ、我々にはもはや遠い話に思える。
それは金融にしても、もはやマネーロンダリングの逃避地、「秘密銀行」というわけでもなくなり、存在感を急速に失ったということがあるだろう。
昔から難民の受け入れはしてきたが、今は国の独立すら危ぶまれるほどという。
移民や難民という異分子にかき回され、「スイス」と聞いて、こんな大自然や景観などと単純に連想する人も少なくなったのではないか。
女性はみなふくよかで、料理をするのが好き。
家庭というものがあってこじんまりしていた。
とても豊かだった国だ。
そしでドラッグ。
青少年の問題を早くから抱えていた記憶があるが、さしずめ今なら高齢化ということだろう。
航空会社がこんな風に観光のキャンペーンをやって、「ルック」とか、旅行代理店とタイアップを組んでいた時代があった。
ページの端にはその旅行会社用の小さなクーポンが見える。
そうして、観光需要を喚起して乗客を呼び込み、乗客需要へと結びつけるというわけだが、なんとも牧歌的なビジネスだったというしかない。
それでどれほどの需要を喚起できたのか、今では知る由もない。
だいたい、出不精な人間というのは、こういう広告を見て航空券を買うという発想がそもそも理解できなかった。
航空会社のチケットは二重、三重の価格構造になっていて、今ではマイルだのなんだのと複雑になっていて分かりにくい。
知っている連中はネットで予約をして安い航空券を買うが、突然思いついた旅行をしようとすればとてもじゃないが高くて、損した気分になってしまう。
それでケチがつく。
航空券というのは、昔からオープンだのなんだのと色々と面倒なものだったが、どんどん分かりにくくなった。
知っている連中だけが得をしてこちらは損をするしかないというなら、何も付き合う必要もないのだ。
「損はしたくない」と、遊びゆくのにそこまでいらぬ知恵を働かせて苦労するなら、いっそ列車で日本国内を周る楽しみの方がよっぽど気軽でいい。
知らない土地は国内だっていくらでもある。
現在の航空業界の苦境というのは、何も今回のコロナショックというだけでもないだろう。
結局はいずれこういうことになっていたはずだ。
LLC、格安航空会社と謳われるところでさえその価格設定は非常に曖昧になっていった。
わざわざ何ヶ月も前から予約が殺到し、安い航空券は常に売り切れ状態。
そしてどこかには必ず裏技なんかがあって、安くあげようとする連中や転売屋、代理店がチケットを抑えている。
うんざりだ(笑)。
こういう不透明な業界特有の衰退構造というのは、実は他の業界でも聞いたことがあった話だ。
「眼鏡業界」というのがそれだった。
常に価格は不透明。
眼鏡をあつらえようとすればその金額は予想できなかった。
様々なオプションがあり、結局は積算されて想定を超えたりする。
そのくせ実用だけで安く上げようとすればできてしまう。
航空業界も眼鏡業界のように透明性取り戻せるまでは、その衰退は続くことだろう。