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 またしてもオールドスパイス。このメーカーの広告はこのブログにはよく登場しています。

 つくづくこのボトルデザインは昭和そのものだ思い感心します。「昭和博物館」あればそこに相応しい。

 「海が躍る」なんて、箱から高波が来ているようなギミックなことをしますが、そんなことしなくても十分にインパクトはあるのに。
 この広告写真はちょっと違和感がある。


 乳白色というか、それが少しグレーがかったこのボトル。
 これをもっと強調してもいい。

 使うと効果があるかは、まるで分からないけれどもww。



 「アフターシェーブ・ローション」というのは昭和の時代、多いに売れたと思います。
 男がヒゲを剃った後のあの「ムチムチ」っとする違和感を抑えるためのものです。


 男のヒゲというのは、例えば床屋なんかでキレイにカミソリを当ててもらい剃ればこんなものは必要ありません。
 すっきりとして、最後は温めたタオルなどで実に爽快なものです。
 こってりとヒゲを剃り、跡形もないぐらい剃られても、そこは床屋ですから肌が痛むということもありません。


 ところが、自前で安物のカミソリや電動髭剃りなんかでヒゲを当てようとすると、中途半端に剃れてしまうものです。

 こんな昭和の時代は今のように切れ味の鋭い電気カミソリなんてありませんでした。
 カミソリにしても、二枚刃どころか三枚、四枚刃なんてシェーバーが売られている今からしたら、包丁で剃っているようなものでした。

 昭和の時代、自分で剃るヒゲなど剃り残しばかりでした。


 だから、こういうアフターシェーブローションというものは、床屋さんでヒゲを当ててもらった後の蒸しタオルとはまた違った狙いのものだったと言えます。



 自前で、自分で髭剃りを使ってヒゲを剃ろうとすると、どうしても剃り残しが出ます。
 見掛けはさっぱりしたようでもヒゲが毛穴の下に潜り込んでいたりします。

 剃り終わって、後になって皮膚の下から、毛穴の奥に寝ていたヒゲがプチプチと起き上がる感覚があります。

 なんだか痒いようなムズムズした感じです。

 何度上手に剃ってもなかなか残ってしまうものです。
 そういうことに昔の男性はみな引っかかるものを感じていたのです。
 アメリカの映画でも昔はそんなシーンがよくあります。みんな慎重に丁寧にヒゲを剃ろうとします。



 ヒゲを剃るのも大変なことでした。
 上手に剃れるかどうかというのも大人への階段でした。


 そして、そこを適当なところで切り上げると、やはりなんだかムズムズしてしまうものなのです。

 しかし見た感じはそこそこ剃れていますから、そうそうしつこくはやっつけることもありません。

 あまりしつこく剃れば肌が痛んでしまいます。
 昭和の時代、大人が髭剃りに失敗して血が出た顔ほどみっともないとされたことはありません。

 そういうことをしているとまるで子供で未熟だと見られたものです。


 それで、そういう髭剃り後の違和感を抑えるものに使われたのが、アフターシェーブローションというものでした。
 
 いわば爽快感の皮膚への刺激で、ヒゲ剃り跡の不快感を誤魔化そうとするものでした。

 スットした感じをさせ、髭剃り後が爽快に感じられるようにしたのです。



 今は髭剃りが発達していますから、アフターシェーブローションの役割というのはすっかり忘れられているでしょう。

 むしろ今はシェビングローションと四枚刃のシェーバーなんかでこってりとヒゲを剃れば、肌がヒリヒリするぐらいです。
 それを抑えるローションはきっとまた別のタイプになるはずです。


 ただ、こういうアフターシェーブローションを売っている方というのは、そこまでの説明はしませんでした。
 黙って説明はせず、「髭剃り後が爽快」とやった。

 
 男性はみな多かれ少なかれ様々な違和感や不快感をヒゲ剃りの後に感じていますから、あえてターゲットを絞らないようににそういう売り方をしたのだと思います。


 もちろん、だから、気がつかない男性にとってはアフターシェーブローションというのはてんでピントくるものではありませんでした。
 ましてや少年のような、か弱い発達してないようなヒゲを剃っても、こんなものが必要だとは分からないものでした。


 昭和の子供たちが、当時の大人たちのいわば「アフターシェーブローション協奏曲」というものに対して、みな奇妙な思い出とともにに振り返るというのはそういうことです。

 それからほどなくして、すぐによく切れる二枚刃シェーバーや深剃り電気カミソリが登場することになります。


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